映画の概要

ちょっと思い出しただけ
公開年:2022年
監督:松居大悟
ジャンル:ラブストーリー / ヒューマンドラマ
上映時間:115分
主要キャスト:
- 池松壮亮(佐伯照生 役)
- 伊藤沙莉(野原葉 役)
- 永瀬正敏(ジュン 役)
- 國村隼(バー「とまり木」マスター 役)
- 成田凌(フミオ 役)
- 尾崎世界観(ミュージシャンの男 役)
タクシードライバーの葉(伊藤沙莉)と、元ダンサーで現在は劇場の照明スタッフとして働く照生(池松壮亮)。 物語はふたりが別れた後の2021年のある一日から始まり、時間を巻き戻しながら、6年間の恋愛模様が描かれていく。 7月26日という同じ日を遡ることで、愛し合った日、すれ違った日、そして出会った日の記憶が鮮やかに蘇る──。 クリープハイプの尾崎世界観が映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』にインスパイアされて作曲した 「ナイトオンザプラネット」に着想を得た松居大悟監督が、完全オリジナルのラブストーリーとして映画化。 第34回東京国際映画祭で観客賞を受賞した話題作。
松居大悟監督について
松居大悟監督は、『くれなずめ』『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画をつくったら』など 独特な視点で人間ドラマを描いてきた映画監督・脚本家。 本作は、クリープハイプとの長年のコラボレーションの中で生まれた作品であり、 映画と音楽が密接に結びついた映画となっている。
本作の特徴
- 過去6年間の出来事を「7月26日」という1日を遡る形で描くユニークな構成
- 池松壮亮と伊藤沙莉のリアルな演技が光る
- 松居大悟監督×クリープハイプによる映画と音楽の融合
- 『ナイト・オン・ザ・プラネット』をオマージュした作品
- 東京国際映画祭で観客賞を受賞した評価の高い作品
目次
映画のポイント
📌 ① 時間を遡るユニークなストーリー構成
「7月26日」という同じ日を遡る構成が印象的
本作は、主人公の佐伯照生と野原葉の6年間の恋愛を、毎年「7月26日」の出来事を遡ることで描くという、 独特なストーリー展開が特徴です。 これにより、ふたりの関係がどのように変化していったのかが、徐々に明かされていきます。
最初は別れた後の姿を見せられることで、「なぜこうなったのか?」という興味が湧き、 過去に戻るごとに、ふたりがどのように惹かれ合い、そしてすれ違っていったのかが明らかになります。
通常の時系列で描かれる恋愛映画とは違い、観る側の記憶が積み重なることで感情が深まるという、 まさに「思い出」をたどるような体験ができる作品です。
📌 ② 池松壮亮&伊藤沙莉のリアルな演技
ナチュラルで感情豊かな芝居が心を打つ
主人公の佐伯照生を演じる池松壮亮と、野原葉を演じる伊藤沙莉。 ふたりの演技は、まるで本当に存在するカップルを覗き見しているかのように自然で、リアルな感情が伝わってきます。
池松壮亮は、不器用ながらも優しさを持った青年・照生を繊細に演じ、 一方の伊藤沙莉は、明るくてまっすぐな葉を魅力的に表現。
特に、別れを迎えるシーンや、ささいな幸せを感じる瞬間は、 ふたりの表情や仕草からあふれる感情が胸に迫ります。
📌 ③ 松居大悟監督×クリープハイプの音楽
音楽と映画が完璧に融合した作品
本作は、クリープハイプの楽曲「ナイトオンザプラネット」にインスパイアされた作品であり、 映画全体の空気感を音楽が絶妙に支えています。
特に、映画のラストで流れる「ナイトオンザプラネット」は、 これまでの6年間の物語を締めくくる重要な役割を果たしており、 映画を観終わった後もその余韻が長く残る仕掛けになっています。
クリープハイプのボーカル・尾崎世界観自身も出演しており、音楽と映画の関係性をより強固なものにしています。
📌 ④ 夜の東京が舞台の美しい映像
都会の孤独とぬくもりを映し出すロケーション
映画の舞台は、夜の東京。 タクシードライバーとして働く葉と、劇場の照明スタッフをしている照生。 ふたりの生活は、夜という時間の中で交錯します。
特に、街灯に照らされるタクシーの車内、静かな公園、バー「とまり木」などのシーンでは、 まるで観客も東京の夜を歩いているような感覚になります。
この映像美は、まさにジム・ジャームッシュ監督の名作『ナイト・オン・ザ・プラネット』を彷彿とさせます。
📌 ⑤ 「思い出」というテーマが心に響く
「過去は変えられないけれど、思い出は変わっていく」
本作は、恋愛映画でありながら、思い出というテーマを深く掘り下げています。
人は過去を振り返るとき、同じ出来事でも感じ方が変わることがあります。 「あの時は気づかなかったけれど、あの瞬間こそが幸せだった」 そんな経験をしたことがある人には、この映画のテーマが深く刺さるはずです。
映画のタイトル通り、「ちょっと思い出しただけ」のつもりで振り返った過去が、 どれだけ大切なものだったのかに気づく。 そんな体験を観客にもたらしてくれる作品です。
📌 ⑥ 何度でも観たくなる作品
観るたびに違う発見がある
本作は、1度観ただけではすべてを理解できないような、繊細な感情の積み重ねでできています。
最初はストーリーを追いかけて観る。 2回目は映像美や音楽に注目して観る。 そして3回目は、登場人物の表情や仕草の変化を感じながら観る。
観るたびに新しい発見がある、そんな奥深い映画です。
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観た人が語る、この映画の魅力
「時系列が入り組んでいるのに、心に響く物語」
初めは時系列が前後するので、少し混乱したけれど、 物語が進むにつれてピースがハマっていく感覚があった。 ラストシーンで全てがつながり、思わず涙がこぼれた。
「池松壮亮と伊藤沙莉の演技がリアルすぎる」
2人のやりとりが自然すぎて、まるで本当に付き合っていたかのように思えた。 どこにでもいるカップルの姿なのに、なぜこんなに感情を揺さぶられるのか…。 2人が別々の道を歩むシーンは、胸が締め付けられるようだった。
「クリープハイプの『ナイトオンザプラネット』が沁みる」
主題歌の「ナイトオンザプラネット」がこの映画と見事にリンクしていた。 映画を観た後、この曲を聴くだけで涙がこぼれそうになる。 音楽の力って本当にすごいと思った。
「何でもない日常の切り取り方が秀逸」
ただ一緒に過ごす時間、何気ない会話、ふとした仕草が、 こんなにも愛おしく感じるなんて。 2人の時間がかけがえのないものだったことを痛感する映画。
「ラストの表情に全てが詰まっている」
ラストの池松壮亮の表情がすべてを物語っていた。 言葉はいらない、ただ彼の表情だけで心が締めつけられる。 余韻がすごくて、映画が終わった後もしばらく動けなかった。
「東京の夜景が美しく切なく映る」
夜の東京、ネオン、雨の道路に映る光。 そんなありふれた風景が、こんなにもエモーショナルに感じるとは。 監督の映像センスが光る作品だった。
「“ちょっと思い出しただけ”で涙が出る」
映画のタイトルの意味が、観終わった後にじわじわと染みてくる。 ふとした瞬間に、思い出が胸を締め付けることってあるよね…。 そんな感覚を見事に映像化した作品。
「1年に1回、見返したくなる映画」
この映画は、観る時の自分の状況によって感じ方が変わりそう。 だからこそ、1年に1回は見返したくなる作品。 また違った視点で観られるのが楽しみ。
『ちょっと思い出しただけ』を200%楽しむ方法
🎧 映画を彩るサウンドトラックを楽しむ
本作の印象を大きく左右するのが、クリープハイプの「ナイトオンザプラネット」。 エンドロールで流れるこの曲が、映画の余韻を最大限に引き立てています。 映画のシーンを思い出しながら、ぜひ音楽を楽しんでみてください。
**🎵 特に印象的な楽曲**
– **「ナイトオンザプラネット」** – 映画の雰囲気をそのまま閉じ込めたエンディング曲
– **「サウンドトラック」** – 作中の切ないシーンに寄り添う音楽
– **「雨の音」** – 何気ないBGMが感情を引き立てる
📚 映画のテーマに通じる書籍を読む
映画のテーマと共鳴する本を読むことで、 より深くこの作品の世界に没入することができます。
**📖 映画に関連するおすすめ書籍**
– **ヘルマン・ヘッセ『デミアン』**
→ 過去を振り返ることで見えてくる、人生の選択の意味を描いた名作。
– **レイモンド・カーヴァー『大聖堂』**
→ 日常の些細な出来事の中にある人間関係の機微を描いた短編集。
– **吉本ばなな『キッチン』**
→ 失ったものを思い出しながら、それでも前を向く物語。
🚶♂️ 映画のロケ地を巡る「聖地巡礼」
『ちょっと思い出しただけ』は、東京の夜を美しく切り取った作品。 映画の舞台となったロケ地を巡ることで、作品の世界をより身近に感じることができます。
**📍 代表的なロケ地**
- タクシーのシーン:東京都内の深夜の街並み
- ライブハウス:新宿・渋谷の音楽スポット
- 夜の公園:都会の静かな場所が物語のカギ
☕ 静かなカフェで余韻を楽しむ
映画のテーマの一つは、「思い出と向き合うこと」。 観終わった後は、静かなカフェでコーヒーを飲みながら、 作品の余韻に浸るのもおすすめです。 ふとした瞬間に、映画のシーンが思い出されるかもしれません。
🎥 もう一度観ると、新たな発見がある
『ちょっと思い出しただけ』は、時間の流れが巧妙に組み込まれた作品。 2回目に観ると、1回目とは違った視点で物語を楽しめるはずです。 さりげない会話や背景の演出に注目すると、より深い感動を味わえます。
🌙 夜の東京を歩いてみる
本作は、東京の夜が持つ独特の空気感を映し出しています。 深夜に少しだけ散歩をして、映画のような時間を過ごしてみるのもいいかもしれません。 夜の静けさの中で、思い出がふと蘇ることもあるでしょう。
『ちょっと思い出しただけ』は、Amazon Prime Videoの評価が高く、気になったので視聴しました。 観終わって最初に思ったのは、「とても良かった」という率直な感想です。
🎬 「逆回し」の手法にやられた
映画の構成としては、若い男女の出会いから別れまでを時系列を逆に描くというもの。 これだけ聞くと、普通の恋愛映画に思えるかもしれませんが、 「逆回し」という手法が心に響きました。
どこにでもありそうな恋愛だからこそ、観ている自分と重ね合わせやすい。 そして、「思い出す」という行為自体がまさにこの映画の流れと一致している。 ほろ苦い過去を振り返る時、ある特定の瞬間だけが鮮明に蘇ることってありますよね? この映画は、その感覚をそのまま映像化したような作品でした。
💔 思い出すたびに、楽しかった日々と切なさが押し寄せる
物語の冒頭は、ヒロイン・野原葉(伊藤沙莉)が仕事の途中に元恋人の佐伯照生(池松壮亮)を偶然見かける場面から始まります。 そこから彼女の視点で過去が逆回しに描かれていく。 「思い出す」という行為そのものが映画の構成とシンクロしているのが見事でした。
過去の最初は、二人が別々の道を歩み始めた日から始まり、 その後、すれ違いの日々、最高潮だった瞬間、出会いの瞬間へと遡っていく。 時が巻き戻るごとに、二人の関係がより濃く、情熱的に映し出されるのが切なかったですね。 逆回しにしたことで、「あの時はあんなに幸せだったのに…」と観客に思わせる演出が効いています。
💔 些細なズレが、決定的な別れを生む
「こんなに仲が良かったのに、どうして別れてしまったのか?」 そう思いながら観ていると、やがて二人の関係にヒビが入る瞬間が訪れます。 でも、それは大げさな事件や劇的な裏切りではなく、本当に些細なこと。 「このタイミングで謝れば、まだ続いていたのでは?」と思えるほどの、小さなズレでした。
でも、それこそがリアルな恋愛なんですよね。 恋愛って、決定的な出来事よりも、小さなすれ違いや価値観の違いの積み重ねで終わることが多い。 そういう“恋愛の現実”を、ものすごく丁寧に描いている作品でした。
🎭 運命のような出会いと、あっけない終わり
ヒロイン・野原葉は、きっと佐伯照生との結婚を考えていたと思う。 けれど、佐伯は夢を追い続けていて、どうにもならない挫折や事故を乗り越えることができなかった。 「普通の幸せ」を求めた野原葉と、「夢を諦められない」佐伯照生。 たぶん、彼女は何度か結婚について言葉に出したんじゃないだろうか。 でも、佐伯照生は気づいていながら、それに応えられなかった。
そして結局、野原葉は別れてから寂しさを埋めるように別の男性と結婚する。 そう考えると、「恋愛はタイミング」という言葉が思い浮かびますね。
🎵 ラストシーンのダンスが切ない
物語の最後、出会ったばかりの二人がダンスをするシーンが描かれます。 その瞬間の幸せそうな表情が、現在の二人の姿へと切り替わる。 でも、次の瞬間、「現実の今」に戻る。 つまり、これは野原葉が一瞬の間に過去を走馬灯のように思い出していたのだと気づく。 彼女が見たのは、「あのまま別れずにいたら、こうなっていたかもしれない」というもう一つの未来だったのかもしれません。
🌅 思い出の彼と、現実の夫
ラストでは、野原葉は朝焼けを見つめながら、何かを考えている。 その後、夫が起き、いつもの日常が始まる。 「今の生活は幸せなのか?」という問いは、観る人によって答えが違うでしょう。 けれど、一つだけ確かなのは、彼女は次の朝を迎えたということ。
朝日が昇るたび、過去は少しずつ遠ざかっていく。 でも、その記憶は決して消えることはない。 そんなことを感じながら、物語は静かに幕を閉じました。
🎬 まとめ
『ちょっと思い出しただけ』は、ただの恋愛映画ではなく、「思い出すことの意味」を描いた作品でした。 人生において、思い出は時に美しく、時に苦しいもの。 でも、それら全てが今の自分を作っている。 そんなことをしみじみと考えさせてくれる映画でした。
もし「ちょっと思い出したい」過去があるなら、この映画を観てみてください。