【ミッシング・チャイルド・ビデオテープ】VHSに刻まれた“存在しない真実”が怖すぎる|不気味な余韻が残る異色のJホラー

ホラー

【ミッシング・チャイルド・ビデオテープ】忘れられた記録が暴く、心をえぐる真実

ミッシング・チャイルド・ビデオテープ 映画ポスター

ミッシング・チャイルド・ビデオテープ

公開年
2025年
監督
近藤亮太
脚本
金子鈴幸
ジャンル
ホラー / サスペンス / ミステリー
上映時間
104分
製作国
日本

主要キャスト

  • 杉田雷麟(兒玉敬太)
  • 平井亜門(天野司)
  • 森田想(久住美琴)
  • 藤井隆(塚本哲也)

あらすじ(ネタバレなし)

弟・日向がかくれんぼ中に失踪してしまった過去を持つ青年・兒玉敬太。
今も弟の行方はわからないまま、敬太は行方不明者を捜すボランティアとして活動を続けている。
そんな彼のもとに、ある日、母から一本の古いVHSビデオが届く。そこには、日向が消える“その瞬間”が記録されていた。
同居人・天野司の忠告も聞かず、敬太は記者の久住美琴と共に失踪現場の山へ向かうが――映像を再生したその瞬間から、過去は再び動き出してしまった…。


映画のポイント|『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』を200%楽しむ注目ポイント

消えた弟が“映っている”…VHSに残された戦慄の記録

映像に映った「その瞬間」がすべてを狂わせる

主人公・敬太のもとに届いた古いビデオテープ。
そこには、10年前に失踪した弟・日向が消える「その瞬間」が映っていた。
ホームビデオという日常的な映像の中に潜む違和感が、観る者の心をじわじわと締めつける。
一度再生されたことで、時間が止まっていた忌まわしい過去が再び動き出す。

山に封じられた“何か”──記録と記憶が交差する恐怖

場所そのものが記憶を持っているかのような演出

物語の舞台となるのは、弟・日向が姿を消した山。
敬太、美琴、天野の3人が足を踏み入れたその場所は、時間と現実の境界が曖昧になるような異様な空気に包まれている。
映像と記憶、過去と現在が交錯し、「あの日何が起きたのか」ではなく「今、何が起きているのか」が怖い。

清水崇プロデュースの“正統派Jホラー”の進化形

音で驚かせない、本物の恐怖がここにある

『呪怨』の清水崇が総合プロデュースを担当。
「霊的な恐怖」×「家族の喪失」×「記録メディア」という三重構造が作品に深みを与える。
大音量や派手な演出に頼らず、静寂・空間・視線のズレで観客を不安にさせてくる本作は、Jホラーの美学を継承しつつも現代的にアップデートされている。

異なる立場の“三人”が交わることで生まれる緊張感

記者×霊感のある同居人×消えた家族を持つ男

主人公・敬太の過去に向き合うのは、霊感を持つ同居人・天野と、事件を追う新聞記者・久住美琴。
信じるものも、見えているものも異なる3人が同じ現場に向かうことで、「何を信じればいいのか」が観客自身にも問いかけられる。
ホラーでありながら、心理ドラマとしての完成度も非常に高い。

杉田雷麟の鬼気迫る演技が胸に刺さる

“喪失”を背負った青年の孤独がリアルすぎる

主演・杉田雷麟が演じる兒玉敬太は、弟を失ったまま時間が止まってしまった人物
静かな怒りと哀しみ、焦りと後悔、そして恐怖に包まれるその姿には、観る者の感情も強く揺さぶられる。
怖いだけではない、「心が痛いホラー映画」としての側面も、この作品の大きな魅力。


🔥注目レビューPick

「静かに怖い、日本のホラーらしさ全開」

派手さはない。でも、ずっと心がざわつく。
音で驚かすタイプじゃなく、空気と間の取り方が絶妙。
ラストの余韻がすごすぎて、観終わってからもしばらく動けなかった。

「設定がよすぎる!ビデオの描写がリアル」

VHSというメディアの“ざらつき”が怖さを倍増
ビデオに映る“あの瞬間”がとにかく衝撃。
ノイズや映像の揺れまでも演出に取り入れていて、鳥肌が立った。

「弟を探す兄の執念に胸が締めつけられる」

ホラーだけじゃなく、ドラマとしても秀逸
失踪事件の裏にある家族の苦しみがしっかり描かれていて、泣けました。
杉田雷麟さんの演技に心を持っていかれました。

「霊感のある同居人・天野くんが良すぎる!」

怖がりだけど大事なところで頼れる存在
天野くんの存在が、この作品のバランスを保ってる気がする。
人間くさくてリアル。こういうキャラがいるホラー、いいです。

「清水崇プロデュースの安心感」

“ちゃんと怖い”を久々に観た
最近のJホラーにはなかった、背筋が凍る感覚。
清水崇の手腕が効いてるのが分かる作品でした。

「繰り返し観たくなる細かい仕掛け」

1回目じゃ気づかない“映ってる何か”がある
巻き戻して見直したくなる演出が随所にある。
考察好きにもぜひ観てほしい一本。

「邦画ホラーの底力を感じた」

Jホラーってやっぱり独特の怖さがある
ゆっくりと迫ってくる恐怖に、久々に震えた。
派手じゃなくても、こんなに怖いってすごい。


ラストシーン考察|『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』が残す“見えない恐怖”

🏚️ 存在しないはずの“廃墟”がすべての鍵

クライマックスで敬太たちが辿り着いたのは、地図にも記録にも残っていない謎の建物
その場所はまるで、時間と空間の隙間にぽっかりと空いた“捨てられた空間”のよう。
誰かが意図的に隠したのか、それとも世界の端にある“見てはいけない場所”なのか──
物語はついに「理」の及ばない領域へと踏み込んでいきます。

👶 “ぷよぷよ”とは何だったのか

日向が失踪前に語っていた「ぷよぷよがいる」という謎の言葉。
それは、子どもにしか見えない何かの存在を意味していたのでしょう。
明確なビジュアルや説明はなく、観客に「恐怖の輪郭」だけを残す構成は、まさにJホラーの神髄
それは霊でも妖怪でもない、自然と人間の境界にいるような“こだま”のようなものなのかもしれません。

📼 ビデオに取り込まれる“記憶”と天野司の行方

クライマックスでは、霊感のある同居人・司が“ビデオの中”に取り込まれたかのような描写がなされます。
日向だけでなく、司までもが“記録”に囚われる展開は恐ろしく、そしてどこか切ない。
ビデオテープというアナログ媒体が、まるで“現実と異界の接点”のように作用し、
人の記憶や存在を吸い込んでいく構造がぞっとするほど怖い。

🌀 「何も説明されない」ことの怖さ

本作のラストは、明確な“答え”を示さず終わります。
しかしそこには、語られないからこそ広がる恐怖の想像空間が存在します。
事件の真相、存在の正体、施設の意味……
それらを観客自身の記憶と感情に託す構成は、まさに「Jホラー新時代」の到来を感じさせてくれます。

📝 管理人の考察まとめ

『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』のラストは、“すべてが明かされない”ことが最大の魅力。
・記録メディア(VHS)が“異界”と繋がる境界点になる構造
・日向と司の存在が「見えない世界」に取り込まれていく儚さ
・そして、今でも「かくれんぼ」を続けているかもしれない弟の気配
本作は、恐怖とは説明されることではなく、「隣にあるかもしれない」と想像させることなのだと教えてくれます。


『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』を200%楽しむ5つの提案

📼 VHSの“粗さ”を恐怖演出として味わう

あえて画質の悪いVHS映像が用いられているのは、「見えそうで見えない」怖さを引き出すため。
粗い映像の中に“何か”がいるような気配を探してみると、怖さが一段と増します。

👦 日向の言う“ぷよぷよ”とは何か想像してみる

幼い弟・日向が語る「ぷよぷよ」は、子どもにしか見えない存在。
あなたの中の“想像力”を総動員して、その正体を考察してみてください。
神か、霊か、こだまか――それを決めるのは観客です。

🏚️ 山の“存在しない建物”に注目する

クライマックスで登場する廃墟のような建物は、地図にない“ありえない場所”
物理的にも精神的にも“この世ではない場所”に足を踏み入れた感覚を、全身で味わってみてください。

🧍‍♂️ 霊感のある司の発言を疑ってみる

同居人の司は霊感を持つと言われていますが、本当に彼の言うことは正しいのか?
彼の言動が“真実”か“方便”かを考えながら観ると、物語の印象が大きく変わってきます。

🔁 短編版と見比べて“変化”を味わう

本作は短編映画からの長編化作品。
短編では匂わせにすぎなかった部分がどう変化しているかを比較すると、監督の意図がより深く見えてくるはず。
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🎬 私のコメント(※ネタバレを含みます)

『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は、「見えない恐怖」と「言葉にできない不安」を突きつけるジャパニーズホラーの到達点のような作品でした。
どこまでも静かで、どこまでも不気味。けれど、だからこそ「本当に怖いもの」に触れた気がします。

主人公・敬太の執着と罪悪感、霊感を持つ同居人・司の不穏な存在感、そして日向という“喪失された存在”。
全員が「過去」に囚われているからこそ、その行動の一つひとつが痛々しくもリアルに刺さるんです。

本作はホラーであると同時に、「記憶と家族」の物語でもありました。
ビデオテープに封じ込められた“かくれんぼ”は、子ども時代の無邪気さの象徴であり、それを永遠に続けてしまった悲劇。
ずっと呼びかけても返ってくるのは「まだだよ」…このセリフが、こんなに切なくなるなんて。

実家のシーンで、母親の遺体に気づかなかったという衝撃
そして深夜に流れるバースデービデオ…。
一見穏やかで優しい記録映像が、こんなにも“凶器”のように恐ろしいものになるなんて、思ってもみませんでした。

クライマックスでは「存在しない建物」へと足を踏み入れ、“何か”が確かにそこにいる空気だけが残されます。
司の「本物の日向はずっとお前の隣にいた」という言葉は、果たして真実だったのか――
謎は解けないまま残り、むしろそのままの形で観客の心に根を張っていくようです。

「ぷよぷよ」の正体は?
ビデオテープが呪いの起点だったのか、それとも山そのものが?
答えのない問いに向き合うことこそが、この映画の“真の楽しみ方”だと感じました。

『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は、観る者の記憶の深層に入り込み、“消えない怖さ”を植えつける作品です。
静かな闇の中に潜む“何か”に、どうかあなたも耳を澄ませてください。


まとめ・おすすめ度

『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は、静けさと違和感の積み重ねで“本物の恐怖”を体験させてくれるジャパニーズホラーの秀作です。
明確な恐怖演出がないからこそ、観る人の想像力に忍び込んでくる恐怖。
意味のわからなさが不安を生み、映像の“粗さ”や“間”すら演出として計算されている。観終わった後も、きっとあなたの中に残り続けます。

  • おすすめ度:★★★★☆(4.5/5)
  • こんな人におすすめ:
    • “説明されない恐怖”を楽しめる人
    • Jホラーならではの不気味な空気感が好きな人
    • 考察や余韻のある作品を求めている人
    • 『リング』や『ノロイ』といったVHSホラーが好きな人
    • 音や映像の“違和感”にゾッとする感覚を味わいたい人

この映画の恐怖は、観終わっても終わらない。
『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は、心の奥に潜む“怖さの原型”を思い出させてくれる異色のホラーです。

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